井上陽水と愉快なギターたち

更新:2013/12/14(Sat) 17:25:32

井上陽水という人にギターに対する愛着があるのかどうかはわかりませんが、さすがに永い芸歴のなかでその使用ギターも結構な数にのぼっています。
そんな陽水のギターをまとめておくページです。
掲載の方針等は[備考]をご覧下さい。

[ARIA] [B. C. Rich] [C. F. Martin] [Fender] [Gibson] [GRETSCH] [GUILD] [春日] [K.Yairi]
[Ovation] [Rickenbacker] [S.Yairi] [Taylor] [Terry's Terry] [ヤマハ] [不明] [その他] [備品]
[主要映像作品ギター一覧] [用語集] [ギターにまつわるエトセトラ] [備考]


ARIA

FEA-120

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーARIA
型番FEA-120
製造年1991年頃
シースルー・ブラック
トップメイプル(合板)
サイドメイプル(合板)
バックメイプル(合板)
ネックメイプル
指板エボニー
ブリッジローズウッド
ピックアップPZP-6 Piezo
その他の特徴シングル・カッタウェイ
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『広告批評』の陽水特集(92年03月号)等に掲載されている写真で使用が確認できます。
時期的に91年の夜中のライヴ・ハウス・ツアーのものでしょう。

80年代中頃から90年代初頭にかけて頻繁に起用されたFE-T100との違いは、指板のインレイが四角く、21フレットまで入っていることと、サウンド・ホール周りの装飾が派手なことです。
FEA-150という、ほとんど同じ見た目の上位モデルがありますが、カタログではオレンジっぽいウォールナット色しかラインナップされていないため、このギターは120と判断しました。
150とのわずかな見た目の違いは、120のブリッジ両端に飾りのインレイがあること、品質としては、150が単板で120が合板であることです。
最上位から2番目の機種であることを考えると、FE-T100の後継機と見なせます。

FE-T100

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーARIA
型番FE-T100
製造年1983〜86年
ブラック
トップスプルース
サイドシカモア
バックシカモア
ネックマホガニー
指板エボニー
その他の特徴アーチド・トップ、シングル・カッタウェイ、プリアンプ内蔵
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後のアリアは型番のアルファベットと数字のあいだに「-(ハイフン)」を入れるようになりますが、このギターのカタログやラベル、ロッド・カバーでの正式な名称は「FE-T100」です。
ヘッドの「Elecord」というのは、アリアのエレクトリック・アコースティック・ギターのシリーズ名です。
83年発売。
こちらものちのFEA-120同様、150という上位機種が同時に出ています。
特徴は指板のインレイが曲線を持っていることです(FE-T150は四角)。
このインレイは、遠目には三日月型、実際には戯画化された雲を半分に切ったようなかたちをしています。
カタログには「ブラック」とあるため、それに従いましたが、実際にはブラック・サンバースト、後のアリアの言い方に従えばシースルー・ブラックです。
映像ではほとんどフラットに見えますが、アーチド・トップです。

映像でもっともよく確認できるのは『クラムチャウダー』
『夜のヒットスタジオ スーパーDELUXE』(87年12月30日)で安全地帯と共に中森明菜のバックについたときにも使っていました。
『STARDUST RENDEZ-VOUS』『夜のシミュレーション』ではヤマハのAPXでしたが、『とんねるずのみなさんのおかげです』出演時(90年12月27日)の「フィクション」で復活、ハバロフスク&マフィア(91年08月25日)では全曲これ1本で通し、『ミュージック・ステーション』出演時の「少年時代」(91年10月25日)や日清パワーステーション・ライヴで登場したのち、再び見かける機会がなくなりました。


B. C. Rich

Mockingbird

種類6弦エレクトリック
メーカーB. C. Rich
型番Mockingbird
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『夜のヒットスタジオ』出演時(81年)に「夢の中へ」(オープニング)・「ジェラシー」で使用したギター。
おそらくモッキンバードかと思います。
茶色のボディ(マホガニーまたはコア材)に金色のピックアップでしょうか。
40周年の宣伝用写真で久しぶりに登場しましたが、公開されたのはおおむねスーパー・チェットでした。


C. F. Martin

D-28


種類6弦フォーク
メーカーC.F. Martin
型番D-28
トップスプルース
サイドローズウッド
バックローズウッド
ピックガードべっこう柄
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『テレビアンナイト』出演時(81年)の「答えはUNDERSTAND」や、九州ニューミュージックフェスティバル(81年12月05日)等で使用したギター。
78年頃からすでに使用していたようです。
82年のツアー・パンフレットで見えるドレッドノートはおそらくこのギターでしょう。
当時はコンタクト・タイプのピックアップが取りつけられていました。

型番はボディ形状から推測しました。
ネックにバインディングがないのでD-35ではなく、サイドのバインディングや底の接合部が白っぽいため、D-18でもありません。

『弾き語りパッション』前の宣伝用写真で大量に公開されました。
「傘がない」プロモーション・ヴィデオでオダギリジョーがこのギターを弾いています。
この映像ではアンプをつないでいないのに、サウンド・ホールにピックアップ(FISHMAN製Rare Earth)が取りつけられているので、前後にライヴで使用されたか、使用が検討されたのかも知れません。


Fender

Jaguar

種類6弦エレクトリック
メーカーFender
タイプJaguar
製造年1966〜75年
ソニック・ブルー
ボディアルダー
ネックメイプル
指板ローズウッド
ピックガード
その他の特徴ブロック・インレイ
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82年03月07日のNHKホールでのライヴ映像では、ドラムの前にステージ向かって右からムスタングAA-82、そしてジャガーが並んでいます。
さらにその左隣にあるのはベースです。
六土開正は陽水のすぐ左にいるので、このジャガーは陽水のギターということになります。
使用風景を見たことが全くありません。

62年の発売ですが、この個体は指板のインレイが四角い大型のため、66年以降のものです。

Mustang

種類6弦エレクトリック
メーカーFender
タイプMustang
製造年1968〜74年
指板ローズウッド
ピックガードホワイト・パーロイド
その他の特徴コンペティション・ストライプ、マッチング・ヘッド
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発売された資料としてはモノクロ写真しか見つかりませんでしたが、実際は赤です。
特徴はボディにストライプが入っていること。
82年03月07日のNHKホールでのライヴ、『ミスキャスト!? 沢田研二 VS 井上陽水(サンデープレゼント)』出演時(82年12月12日)の「闇夜の国から」・沢田研二との「How Many "Good Bye"」や、『ミュージックフェア』出演時(83年01月13日)の「Yellow Night」で使用していました。

Stratocaster(1st)

種類6弦エレクトリック
メーカーFender
タイプストラトキャスター
製造年1972〜75年
アイヴォリー
指板メイプル
ピックガード
その他の特徴ラージ・ヘッド、ブレット・トラスロッド
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70年代半ばから使用されたストラトキャスターです。
高中正義とのジョイント・コンサート他、80年代半ばまで、様々な機会に登場します。
ラージ・ヘッド。
ヘッドにストリング・ガイドが2個あり、シリアルがないのは、72〜76年の特徴です。
75年には写真に登場しているので、当時の新品を購入したのでしょう。

Stratocaster(2nd)


種類6弦エレクトリック
メーカーFender
タイプストラトキャスター
製造年1972〜76年
タバコ・サンバースト
指板メイプル
ピックガード
その他の特徴ラージ・ヘッド、ブレット・トラスロッド
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90年代半ばからよく使用するにようになったストラトキャスターです。
わかる限りでは、色以外の全ての特徴が1stと同じです。

最近になって、モノクロですが明らかにタバコ・サンバーストとわかるストラトキャスターを持っている77年の写真を見つけました。
「GOING ON」ツアー時のもので、他に使用例を見たことがありませんが、1stと特徴が同じこのギターの写真と判断しました。
同時期に2挺入手し、こちらのタバコ・サンバーストの方は永く表立って使用する機会が少なかったのでしょう。
79年12月23・24日の高中正義とのジョイント・コンサートで、1stを使っているとき、D-55の向かって右側に1本分ほどおいて見える、タバコ・サンバーストでメイプル指板のストラトキャスターがこれかも知れません。

Stratocaster(3rd)

種類6弦エレクトリック
メーカーFender
タイプストラトキャスター
製造年1965〜82年
タバコ・サンバースト
指板ローズウッド
ピックガード
その他の特徴ラージ・ヘッド
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「パラレル・ラブ」でのTV出演時(『HEY!HEY!HEY!』・『ミュージック・ステーション』等)の使用ギターは2ndでしたが、江ノ島水族館で撮影のプロモーション・ヴィデオでは指板の違う別のストラトキャスターです。
またラージ・ヘッド。

Telecaster(1st)

種類6弦エレクトリック
メーカーFender
タイプテレキャスター
アイヴォリー
指板メイプル
ピックガード
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『二色の独楽』ポスター・ジャケットで壁に立てかけてあるのが見えるギターです。

Telecaster(2nd)

種類6弦エレクトリック
メーカーFender
タイプテレキャスター
指板ローズウッド
ピックガード
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陽水が使うテレキャスターとしては変わった色のため、テレキャスター・タイプの別会社のギターかとも思い、[不明]に分類していましたが、その後見つけた写真でヘッドに「Fender」とあるのが確認できたので、ここに移動しました。
2000年前後の宣伝用写真によく登場しますが、実際には92年頃から使われています。
この時期FEA-120T's TYD88等、黒いギターばかり登場しました。
このギターの画像・映像では、いつでもアーニー・ボールの明るい赤色(おそらく4040)のストラップがつけられています。
エレクトリック・ギターとしては珍しく、ボディのピンではなく、ネックにストラップをつけている写真がありますが、撮影用のシャレでしょう。

Telecaster(3rd)

種類6弦エレクトリック
メーカーFender
タイプテレキャスター
製造年1959〜72年
タバコ・サンバースト
指板メイプル
ピックガード
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NHKで放送されたBlue Noteでのライヴ映像(03年)に、リハーサル中の陽水が「いっそセレナーデ」を唄うシーンがあります。
そのとき後ろのスタンドに立てかけてあったタバコ・サンバーストのテレキャスターです。
ステージ向かって右側、J-45よりも左にありますから、おそらく陽水のギターでしょう。
特徴はサイドにバインディングが入っていることです。
02年の富士ロック・フェスティヴァルや、『空想ハイウェイ ACT III』(04年12月25日)での「ミスキャスト」、『僕らの音楽』未公開集(06年04月14日)での「クレイジーラブ」で使用しているギターと同一と思われます。
『井上陽水 マニアックカタログ』(13年04月07日)で久しぶりに登場。


Gibson

Chet Atkins CE

種類6弦エレクトリック・アコースティック(クラシック)
メーカーGibson
型番Chet Atkins CE
製造年1982〜2001年
トップスプルース
サイドマホガニー
バックマホガニー
ネックマホガニー
指板ローズウッド
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NHKで放送された2011年のツアー模様で、「東京 渋谷」・「2011 5 19 6:31PM」のタイムスタンプの、おそらく楽屋内と思われる映像があり、そこで弾いているギターです。

ギブソンのチェット・アトキンスといえばセミ・アコースティックのカントリー・ジェントルマンやテネシアンが有名ですが、このCEというのは、ナイロン弦、エレクトリック・アコースティック仕様のクラシック・ギターです。
サウンド・ホールは擬似的にデザインされているだけで、ソリッドですから、ボディ内部は空洞ではありません。
陽水はこの映像でストラップもつけずに弾いていますが、よほど重いはずです。

2006年まで製造されていましたが、少なくとも2001年にはブリッジの形状が変更されているようなので、この個体は2001年以前のものと思われます。
ツアー・メンバーからの借りものかも知れません。

ES-335


種類6弦セミ・アコースティック
メーカーGibson
型番ES-335
製造年1962〜79年
チェリー
トップメイプル/ポプラ/メイプル(合板)
サイドメイプル/ポプラ/メイプル(合板)
バックメイプル/ポプラ/メイプル(合板)
ネックマホガニー
指板ローズウッド
ブリッジローズウッド
その他の特徴ブロック・インレイ
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セミ・アコースティックに疎いので迷いましたが、335でしょう。
330との違いはネック・ジョイント部のフレット数、355との違いはポジション・マークの幅でしょうか。
62〜63年頃から70年代いっぱいつづいたブロック・インレイなので、写真の時期からすると当時の新品を購入でしょうか。
ビートルズ絡みということもあり、EpiphoneのCasinoも検討しましたが、Casinoのデフォルトのピックガードは白いはずなので、ギブソンとしました。

『GOLDEN BOOK』にモノクロ写真が掲載されています。
79年12月23・24日の高中正義とのジョイント・コンサート、もしくは発売されなかったライヴ盤の告知チラシでは、当日使わなかったこのギターが写っていますが、ピックガードが外されています。

J-45(1st)







種類6弦フォーク
メーカーGibson
型番J-45
製造年1964〜69年
チェリー・サンバースト
トップスプルース
サイドマホガニー
バックマホガニー
ネックマホガニー
指板ローズウッド?
ブリッジエボニー?
サドル固定
ピックガードラージ(厚)
その他の特徴ピックアップつき
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チェリー・サンバースト、モールド仕様の厚めのラージ・ピックガード、アッパー・ベリー・ブリッジは年代から見て標準的ですが、比較的珍しいのはサドルが固定型であることです。
この年代ではアジャスタブルが普通なのですが、これを嫌う演奏者も多いため、オプションで注文されたか、もしくは後からブリッジごと交換されたのでしょう。

遅くとも78年にはこのギターを弾いている写真が確認できます。
このときのペグは丸形で白のプラスティック・ノブでした。
『陽水Special』で放映された武道館での高中正義とのジョイント・コンサート(79年12月23・24日)における「青空、ひとりきり」・「心もよう」・「傘がない」等を弾き語りしているときのJ-45には、台形ノブのクルーソン・デラックス・タイプのチューナーがついています。
『GOLDEN BOOK』にあるモノクロ写真のJ-45も同じタイプのチューナーです。
武道館ライヴではマイク直録り、『GOLDEN BOOK』ではピックアップがついているので、常識的に考えれば、『GOLDEN BOOK』の写真の方が後ということになります。
このギターと同一のものとすれば、78年から79年のあいだに1回、『GOLDEN BOOK』から『ラインダンス』に見開き2ページで掲載されている、珍しくサングラスなしで唄っている写真が撮影されるまでのあいだ、もう1回、今度は金属ノブ・タイプのチューナーに交換されています。
「ジェラシー」で『ザ・ベストテン』に出演したときはまだ台形ですので、2回目の交換は81年以降です。
この年代のギブソン標準だと金属ノブの場合はオープン・バックですが、このギターのチューナーはおそらくグローヴァーのロトマチックです。
ヘッド裏の傷具合から見て、最初のチューナーは3連タイプだったかも知れません。

指板とブリッジはハカランダ(ブラジル産ローズウッド)が多い時期ですが、木目の見えない、あるいは見えづらい黒いタイプなので、指板は他のローズウッド、ブリッジはエボニー等の可能性もあり、判別できません。
光の反射具合から見て、ブリッジはプラスティック製ではなさそうです。

このギター、ヘッド裏に楽器店の購入シールが貼ったままになっています。
これはカワセ楽器の保証シールでしょうか。
たとえば泉谷しげるの使うギルドのギター(F-50R?)にも、ヘッド裏に同じようなシールが貼ってあるのが見えます。

ネック・ヒールにストラップ・ピンが打ってあります。
ボディ裏にはバックルでのかなりの傷痕が見えます。
陽水はシャツの裾をズボンの外に出していることが多いので、この傷は本人がつけたものではないでしょう。
ということは新古品ではなく、以前に別の使用者がいたと思われます。

現在はエンド・ピン・ジャックから出力できるピックアップがついています。
ピエゾではなくエア・マイクで、『UNITED TOUR』に収録の1999・2001年のツアー等では、ハウリング防止のため、サウンド・ホールに蓋がつけられていました。
2008年のツアーからはマグネティック・タイプが取りつけられています。
相変わらずボディ内部のネック寄りにコードが見えるので、ブレンドしているようです。

70年代からの使用で、80年代半ばからは登場シーンがなく、91年の突然の夜中の日清パワーステーション・ライヴからが本格起用といえます。
Sparkling Blueツアーの最終公演では、「飾りじゃないのよ 涙は」の途中で弦が切れました。
井上陽水奥田民生として「ありがとう」で『ミュージック・ステーション』等に出演したときも、このギターでした。
その後2000年代にXX-MCが代わった時期が数年ありましたが、再復活しました。

『UNITED TOUR』に収録された「心もよう」やSWITCH記念ライヴの「雪が降る町」で使用したときには半音下げており、『空想ハイウェイ ACT IV』(05年05月21日)での高田 蓮との「いっそセレナーデ」や、菊池成孔との「ジェラシー」、『The Premium Night』ではさらに半音下げのチューニングになっています。
つまり、たとえば「闇夜の国から」はDで弾いているように見えますが、実際のキーはC、「飾りじゃないのよ 涙は」はDmの指使いでCmです。
そのため『40th Special Thanks Live in 武道館』での「Make-up Shadow」では、陽水としてはかなり高位置の4フレットにカポタストをつけていました。
キーを2つ落としていることから弦のテンションがかなり弱まっているせいか、このギターの音をはっきり聴き取れる弾き語りでは、ビレているのがわかります。

なお、このギターは一時期、有料の公式携帯電話用サイトで「J-55」と誤記されていました。

J-45(2nd)

種類6弦フォーク
メーカーGibson
型番J-45
タバコ・サンバースト
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NHKで放送されたBlue Selectionツアーでのドキュメンタリ映像で見えるギター。
同番組Hi-Vision版(03年03月22日/後に地上波でも放送)にあるリハーサルで、陽水が「氷の世界」のリフをこのギターで弾いています。
J-160Eがちらちらしているので紛らわしいのですが、陽水の服装からすると、後半にあるこの「氷の世界」のリフを弾くシーンと冒頭のリハーサル風景とは同じ日で、冒頭シーンでは陽水の右手にギター・スタンドが4つ、右から1stストラトキャスター、何もかけられていない1つをおいて、1番左にXX-MCがあります。
おそらくこのときの空きスタンドにかけられていたであろうもので、手前で今 剛と打ち合わせをする美久月千晴が弾いているJ-45が、同じギターかと思われます。
美久月千晴が「のっぽのサリー」を唄って陽水を笑わせているシーンがありますが、ここで使っているのは、チューナーや陽水の服装から見て、おそらくJ-160Eです。

エンド・ピンがジャックになっているようにも見えます。
はじめからピックアップのついている現行モデルでしょうか。

J-160E




種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーGibson
型番J-160E
製造年1968年
タバコ・サンバースト
トップスプルース(合板)
サイドマホガニー
バックマホガニー
指板ハカランダ
ブリッジハカランダ
サドルハカランダ→セラミック?(アジャスタブル)
ペグクルーソン・デラックス
ピックガードロゴ入りラージ
その他の特徴別ピックアップ(FISHMAN製Rare Earth等)
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ジョン・レノンとジョージ・ハリソンが使用したことで有名。
そのため非常に人気があり、現在まで断続的に製造されているギターです。
しばしばエレクトリック・アコースティック・ギターの元祖といわれますが、実際にはフォーク・ギターのネック・エンドにエレクトリック・ギター用のピックアップ(P-90)を搭載してしまっただけの、割りとインチキ品。
標準搭載のピックアップ使用時は弦もエレクトリック用を使うため、当然出力される音もエレクトリック、またはセミ・アコースティックに近いものです。
ハウリング防止のため、ごく初期を除き、わざと鳴らないように合板でできているという、値段から考えるとふざけたギター。

陽水使用個体は下がり目のクラウン・ヘッド・インレイ、黒いコントロール・ノブ・ハットで、ここまでは65〜68年頃の製造品の特徴ですが、Gibsonのロゴ入りラージ・ピックガードがついています。
このロゴ入りピックガードは68年以外ではまず見かけません。
それにしても鮮明にロゴが残っています。
『UNITED COVER』前後の宣伝用写真ではおそらくSUNRISE製、『UNITED TOUR』収録の99年東京国際フォーラムでのライヴではFISHMAN製のRare Earthというピックアップがサウンド・ホールに取りつけられています。
本来の位置にシールドを挿しているので、ジャック部だけはオリジナルをそのまま流用しているようですが、トップのコトロール・ノブは機能していないでしょう。
『GOLDEN BEST』等に使用された写真撮影時にはハカランダのサドルでしたが、コンサートでは白い素材(このギターの場合、普通ならセラミック、その他象牙・タスク・牛骨等)に取り替えられています。

90年代の終わりから2000年代初頭にかけて盛んに使用されて以降出番がありませんでしたが、さすがに意識していたのか、2013年12月07日の『ジョン・レノン スーパー・ライヴ』で久しぶりに起用されました。
このときは内部設置のピエゾに変更したのか、あるいはあえてデフォルトのP-90にしたのか、サウンド・ホールにピックアップはついていませんでした。

余談ですが、奥田民生のラジオ番組に陽水がゲスト出演したとき(04年05月03日)、

民「陽水さんはですね、トレード・マークはアコギじゃないですか。イメージ的には」
陽「そうそう」
民「いまちなみにレンタルの(笑)」
陽「そう、ギブソン」
民「ギブソンですよね、これですよね。まあ赤いやつとか」

というやりとりがありました。
赤いやつ」というのはJ-45のことですが、「これ」ってどんなギブソンなんでしょう。
どうもこの番組用に「レンタル」という風でもなさそうですし、「トレード・マーク」という話のつながりからして、この時期しばしば使用していたということでなら、この160Eのことなのでしょうか。


GRETSCH

7690 Super Chet




種類6弦セミ・アコースティック
メーカーGRETSCH
型番7690
製造年1974年頃
トップメイプル
サイドメイプル
バックメイプル
ネックメイプル
指板エボニー
その他の特徴シングル・カッタウェイ
▲PAGE TOP

スーパー・チェット。
グレッチのギターの多くを占めるチェット・アトキンス・モデルのひとつです。

年表に記載のある『二色の独楽』録音時にロサンゼルスで購入したというグレッチはこれのことでしょう。
LP版『二色の独楽』の真ジャケットでは回転し、歌詞カードではケースにはまった猫(おたふく)と一緒に写っています。
この写真ではダブル・カッタウェイに見えなくもありませんが、ギター向かって左肩のネック方向に対する曲線が、グレッチとしては極めて特徴的なシングル・カッタウェイです。
型番の最後の1桁は色によるもので、7691は濃いウォールナット色ですから、陽水使用個体は7690と判断しました。
ヘッド及び指板のインレイが非常に豪華なギターで、『ひとり旅』という詩集に陽水使用時真正面からの実に適した写真が載っているのですが、見開き2ページでうまく取り込めないため、当時のカタログを挙げておきます。

2009年のデビュー40周年記念の宣伝用写真で突然復活しました。
ライヴでは使われなかったようです。


GUILD

AA-82



種類6弦フォーク
メーカーGUILD
型番AA-82
製造年1982年
ナチュラル
トップジャーマン・スプルース
サイドインディアン・ローズウッド
バックインディアン・ローズウッド
ネックオーク、マホガニー(3ピース)
指板エボニー
ブリッジエボニー
ナットミカルタ
サドルミカルタ
ピックガード
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Artist Awardシリーズとして1982年に発売されたジョン・デンヴァー・モデルです。
当時のカタログから紹介文を引用します。

★John Denver MODEL AA-82が限定発売になります。

世界中のプレイヤーから熱望のあった、Guildジョン・デンバーモデルがついに日本でのみ登場! オリジナルは世界に1本、ジョン・デンバーの使用しているギターのみでしたが、この度、年間20本という超限定製作発売が決定しました。(後略)

ジョン・デンヴァー用に作られたオリジナルと同一のこのギター(実際のジョン・デンヴァー使用ギターは左右両側にピックガードが貼ってあります)を、当時日本の代理店だったロッコーマンがギルドに制作依頼し、販売したものです。
当時定価60万円。
82年のツアー・パンフレットではこのギターに*(アスタリスク)がついていて、脚注として「* Special thanks to ROKKOMANN INC.」とあります。
84年のパンフレットには、ギターの記載はあっても、スペシャル・サンクスはついていません。

陽水の使用ギターとしては比較的珍しいジャンボ・タイプです。
82年03月07日のNHKホールでのライヴや、筑紫哲也『こちらデスク』の最終回(82年09月26日)で使用されました。
80年代半ばから姿を消しましたが、RE-SESSIONツアー94年11月24日のクラブチッタ川崎、『HEY! HEY! HEY!』出演時(95年12月04日)の「娘がねじれる時」で再度起用され、また見かけなくなりました。
NHKホールでのライヴではコンタクト・タイプ、クラブチッタと『HEY! HEY! HEY!』のときにはSUNRISE製と思われるマグネティック・タイプのピックアップがサウンド・ホールに取りつけられています。

D-55


種類6弦フォーク
メーカーGUILD
型番D-55
製造年1970年代?
ナチュラル
トップスプルース
サイドローズウッド
バックローズウッド
ネックマホガニー、メイプル(3ピース)
指板エボニー
ブリッジエボニー
ピックガード
その他の特徴ピックアップつき
▲PAGE TOP

指板の1弦と6弦の辺りに縦にちょうど弦くらいの太さのインレイが入っているため、角度によっては弦が8本あるように見えなくもありません。
「御免」のジャケットで古い弦を全て外し、新しい6弦をつけている最中なのに、すでに1弦と6弦が張られているように見えるのはこのためです(テーブルの上に載っている新しい弦が4本、ブリッジ・ピンも4本なので、つけようとしているのは5弦?)。

70年代から使われ始め、たとえば初のTV出演に近い79年の武道館ライヴ映像でも確認できます。
80年代半ばから永く出番がありませんでしたが、2005年くらいから再びライヴで起用されています。
『空想ハイウェイ』での押尾コータローとの「リバーサイドホテル」、ジェイク・シマブクロとの「氷の世界」、山下洋輔との「少年時代」・「最後のニュース」でも使用していました。
年代によってピックアップが変わっていき、2008年のツアーからはJ-45同様、マグネティック・タイプ(FISHMAN製Rare Earth)になりました。
色がナチュラルなので見えにくいですが、さすがに年代もののため、表板のラッカーにすさまじいウェザー・チェックが入っています。

便宜上、70年代の製造としましたが、生産は68年(限定注文)から始まっています。

なお、SWITCH記念ライヴJ-45を弾きながら「雪が降る町」を唄っているとき、D-55は陽水の向かって左側に立てかけてあります。
ところが歌の最中、数秒間舞台向かって右袖、つまり陽水側に控えらしいギターが置いてあるのが写るのですが、これがD-55にしか見えません。
おそらくD-55は2本使われているものと思われます。

F-55


種類6弦フォーク
メーカーGUILD
型番F-55
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82・84年のツアー・パンフレットにある使用ギター一覧に記載されています。
使用例を見たことがないためわかりませんが、ただこの部分はRickenbackerが「Rirkenbacker」、Stratocasterが「Stratcaster」になっていたりするので、これについてもD-55の誤植かと思われます。
そもそもF-50やJF-55というのはありますが、F-55という型番はなさそうです。
もし別の型番のFシリーズだった場合、ジャンボ・タイプで、AA-82と重なりますから、おそらく控えであり、同時にステージ上に用意されることはなかったと思われます。


春日

W-20



種類12弦フォーク
メーカー春日
型番W-20
製造年1969年
ナチュラル
ピックガード
その他の特徴アジャスタブル・サドル
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春日の、当時の日本製としてはまだまだ数が少なかったはずの12弦ギター。
しかも極めて意欲的なことに、アジャスタブル・サドルです。
固定型サドルで指板のインレイがこれより素っ気ない廉価版のW-13や、このW-20にJ-160Eのようにトップにコントロール・ノブ、20フレットにピックアップをつけたエレクトリック・アコースティック仕様のEW-200というモデルが当時あったようです。
おそらく1969年の発売ですので、新品購入でしょうか。

シングル盤「ビューティフル・ワンダフル・バーズ」のジャケットに写っています。
福岡市・中洲にあった城山観光のビルのラウンジで歌う井上陽水君(『アンドレ・カンドレ』時代)」という注釈のついた『西日本新聞』の記事内の写真では、ピンが打ってあったのか、ネック・ヒールにストラップをつけています。

「カンドレ・マンドレ」発売時に、「デビュー曲 カンドレ・マンドレ 発売記念 郷土の歌手 アンドレ君 激励の夕べ 主催 糸田町アンドレ後援会」という会があり、ステージ上で唄っている写真がLP版『もどり道』ジャケット内側「うれいの年表」にあります。
この写真は小さすぎ、12弦ギターであること、「花にさえ、鳥にさえ」のジャケットに写っている12弦とは明らかに異なること、先の写真同様ネック・ヒールにストラップをつけていることしかわからず、半袖のTシャツ1枚なので少々疑問が残るものの、69年11月15日に開催されたというこの激励会のとき、翌月01日に「ビューティフル・ワンダフル・バーズ」発売なら、すでに録音・撮影済みだったであろうことをふまえ、状況から考えてこのギターだろうと推測していましたが、『LIFE 井上陽水 40年を語る』の「第1夜」(09年08月24日)で公開された同じ写真で確認ができました。

さらに、この春日のギターかどうか、厳密にいえば確証はないのですが、以下、海老沢泰久の『満月 空に満月』から引用します。
69年、RKB毎日にテープを持ち込もうとしているときの話です。

 だが、問題がひとつあった。井上陽水は、テープレコーダーは高校生のときに手に入れた中古のものを大事に持っていたが、ギターがなかった。ギターがなければ作曲はできなかった。そして井上陽水には、ギターを買う余裕などまったくなかった。そのことを話すと、別府秀行がいった。
「おれが買ってやるよ」
 井上陽水は別府秀行のその言葉に驚かなかった。別府秀行の家は金持らしいと知っていたから、なかば彼がそういうのを期待していたのだ。おれは何てずるいやつなんだろうと思ったが、重要なのはギターを手に入れることだった。
 別府秀行は、翌日さっそくギターを買ってきた。見ると、それは大学浪人の予備校生が使うような安物ではなく、十二弦のすばらしいギターだった。井上陽水は、十二弦ギターというものがあることは知っていたが、じっさいに見るのは初めてだった。しかもそれが自分のものになったのだ。
「すごいぞ」
 と彼は思った。
 井上陽水はそのギターを使い、さっそくその夜のうちに曲をひとつ作った。『カンドレ・マンドレ』という曲名で知られることになる彼のデビュー曲である。

陽水は使用ギター総数に対して12弦の比率がやや高く、年代によって機種は変わるものの、いまも使っています。
エフェクタが発達した今日、すでにライヴでの12弦ギターはその役割を終えたともされていながら、ギタリストでもない陽水が使いつづけているのは、このまともなギターとしては初めて手に入れたときの記憶と、芸歴の最初から1人だったため、12弦ギターのハーモニーに対する、いまもつづく信頼感からでしょうか。


K.Yairi

YD88

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーK.Yairi(ALVAREZ)
型番YD88
製造年1992年頃
トップスプルース
サイド(合板)
バック(合板)
ネックマホガニー
指板エボニー
ブリッジローズウッド
ピックガードなし
その他の特徴シングル・カッタウェイ
▲PAGE TOP

K.Yairi海外輸出向けブランドALVAREZのエレクトリック・アコースティック・ギター。
完全にライン用として割り切られた設計で、サウンド・ホールがありません。
ポール・マッカートニー来日時にプレゼントされ、そのままポールのお気に入りになったそうです。

92年のSparkling Blueツアーで使用されました。
公には見かけませんが、その後も楽屋に控えとして用意されていることがあるようです。
陽水使用個体は指板のインレイが現行とは異なっており、ヘッドもチューリップ型です。


Ovation

1615 Pacemaker


種類12弦エレクトリック・アコースティック
メーカーOvation
型番1615
製造年1972〜86年
サンバースト
トップシトカ・スプルース
サイド、バックリラコード
指板エボニー
ブリッジウォールナット
その他の特徴スロッテッド・ヘッド
▲PAGE TOP

ペースメーカー。
この名前・見た目のギターは2種ありますが、1115はピックアップのついていない素のフォーク・ギターです。
特徴はクラシック・ギターで多く見られるスロッテッド・ヘッドであることです。

なお、「ジャストフィット」と「灰色の指先」のみ収録の『クラムチャウダー』PR盤(LP)ジャケット裏には、派手な上着のままこのギターを持つ陽水の写真が掲載されています。
『クラムチャウダー』本編の映像では上着を脱いだ状態でこのギターを弾いているので、86年06月15・16日の収録とされるこのときのNHKのホールの別の日の「新しいラプソディー」を演奏したときのものなのか、同日にこのギターで別の曲も演奏したのか(発売時にカットされたのは「揺れる花園」と弾き語り数曲)、あるいはこのときのツアーの別の会場での写真なのか、わかりません。
マイクの位置が気になりますが、この写真ではストラップを肩にかけていないので、リハーサル中でしょうか。

Patriot

種類6弦フォーク
メーカーOvation
型番Patriot
製造年1976年
ブラウン
トップスプルース
ネックマホガニー/メイプル
指板エボニー
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1976年のアメリカ建国200年記念に1776本生産されたオベーションのパトリオットです。
ここに挙げた写真では反射で見づらいのですが、特徴はトップ下部にドラムと旗のエンブレムが入っていることです。
陽水はトップにコンタクト・タイプのピックアップをつけています。
当時エレクトリック・アコースティックはあまり一般的ではなかったため、このギターもオベーションの割に、ピックアップなしのものがよく売れたのではないかということです。

TD01 Thunderbolt

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーOvation
型番TD01-8
製造年1988〜89年
トップシトカ・スプルース
指板エボニー
ブリッジウォールナット
チューナーシャーラー製黒
その他の特徴シングル・カッタウェイ
▲PAGE TOP

サンダーボルト。
『夜のヒットスタジオ』や『ミュージックステーション』(89年07月28日)に「夢寝見」で出演したとき使用したギターです。

サンダーボルトは色・柄によって型番が違い、最初のTBシリーズには柄なしで赤・白(パール)・黒しかなかったようです。
陽水使用モデルは水色で柄があり、その後発売されたTSとTDシリーズのうちのTD01と判断しました。
なお、型番の後に色による振り分けがあるので、このギターは正確には「TD01-8(Blue)」です。


Rickenbacker

330

種類6弦セミ・アコースティック
メーカーRickenbacker
型番330
製造年1964〜69年
ジェット・グロー(黒)
ボディメイプル
ネックメイプル
指板ローズウッド
▲PAGE TOP

リッケンバッカーといえばビートルズですが、ジョン・レノン使用モデルは325というもっと小型のギターです。

陽水使用個体の特徴は、21フレットまでしかないこと、トースターと呼ばれるヴィンテージ・ピックアップ(VP)であること、テイル・ピースがR型であることです。
以上により、64〜69年に製造されたものとしました。

少なくとも82年後半のツアーではすでに使用されているようです。
映像では『クラムチャウダー』『STARDUST RENDEZ-VOUS』で活躍、『9.5カラット』でアルバム賞を受賞した85年のレコード大賞に安全地帯と出演したときにも使用していましたが、その後はさっぱりです。

360/12


種類12弦セミ・アコースティック
メーカーRickenbacker
型番360/12
製造年1964〜69年
ファイア・グロー(レッド・サンバースト)
ボディメイプル
ネックメイプル
指板ローズウッド
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12弦のエレクトリックといえばこれ、と世界的に認知されているリッケンバッカー。
この色がもっともリッケンバッカーらしいといわれています。
このメーカーの12弦ギターは他の標準的なものと異なり、副弦が下にあります。

型番も色もそのままぴったりジョージ・ハリソン愛用モデルと同一。
上記330との見た目の違いは指板のインレイとボディ縁の曲線です。
「Make-up Shadow」発売時のみ、プロモーション・ヴィデオや『MUSIC JOURNAL』出演時(93年08月04日)のやけに寂しいバンドなし(カラオケ)での演奏で使用していました。
それ以前・以降では全く見かけません。

陽水使用個体の特徴は、上記330と全く同じです。


S.Yairi

YD-304







種類6弦フォーク
メーカー旧S.Yairi
型番YD-304
製造年1971年頃
ナチュラル
トップスプルース
サイドハカランダ(合板)
バックハカランダ(合板)とメイプル(センター)の3ピース
ネックマホガニー
指板エボニー
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以下、海老沢泰久『満月 空に満月』からの引用です。
72年、「夢の中へ」を作ろうとしているときの話。

 井上陽水は、十二月の末にギターとテープレコーダーを持って田川の実家に帰った。ギターは浪人していたときに別府秀行が買ってくれた十二弦ギターではなく、ヤイリというメーカーのフォーク・ギターを持って行った。《断絶》のレコーディングのときに買ったもので、自分で買った初めてのギターだった。

大学卒業者の初任給が4〜5万だった頃で、定価\80,000。
それでも『氷の世界』当時の陽水人気の頃、かなり売れたそうです。
ワシントン条約批准前で、無造作にハカランダが使われていますが、合板です。
この会社は製品の永久保証を謳っていましたが、会社の方が先になくなりました。
90年代末に復活したS.Yairiは会社名の権利のみの別メーカーです。

『断絶』の頃からのメイン・ギターといわれています。
ヤマハのFG-150があるので、本当にこれが「自分で買った初めてのギターだった」のかどうかはわかりません。

どうもこのギター、一時期指板のポジション・マークに上から直径1cm以上ほどもあるアルミ箔のシールのようなものを貼っていたようです。
オリジナルのドットに合わせて、5フレットに1枚・7フレットに2枚・9フレットに1枚・12フレット2枚貼ってあります。
15・17フレットは素のままです。
このシールらしきものによるポジション・マークは、見やすくするため、という言い訳が一応立たなくもありません。
本来指板のインレイは演奏者にとって演奏中あまり見えることはなく、どうでもよいものです。
ただ陽水のこの当時の写真を見ると、弾き語りのときには、猫背でギターをかなり手前に傾けています。
いまと違い、当時は陽水もよくカポタストを挿していましたし、こういう癖があるなら、よほど暗いステージ上では役に立ったかも知れません。

出所不明の「傘がない」弾き語り映像(72年頃?)では、このシールらしきものが、ヘッドにも縦に3枚、ブリッジの両端にも1枚ずつ貼ってあるのが確認できます。
これはデコレーション以外に考えられません。
『センチメンタル』のジャケット内にある写真でも、ヘッドとブリッジのシールが確認できます。
『ひとり旅』にある写真では、ヘッドは写っていないのでわかりませんが、ブリッジのシールはなさそうです。
『ヤングインパルス』出演時(72年05月14日)の「傘がない」では、ヘッドにもブリッジにもありません。
先の出所不明と同じ皮のジャンパーを着ている、おそらく『Folk & Rock in '73』出演時(73年02月11日)のときと思われる『井上陽水 ベスト4』のジャケット写真でも、ヘッドは『ひとり旅』同様写っていませんが、ブリッジのシールは貼っていないように見えます。
『井上陽水 作品全集』という楽譜集の表紙では、ヘッドのシールも貼ってありません。
かつ、7フレットの下と12フレットの上のシールがはがれています。
『音のそとがわで』にある弦を取り替えている写真でも同様です。
その上で見直すと、『井上陽水 ベスト4』の写真では、7フレット下のシールが剥がれかかっているように見えなくもありません。

指板にシールを貼るというのは、本来職業演奏家では考えられません。
ましてやデコレーション目的となると、ずいぶん貧乏くさい気がします。
しかし以前はこのシールが貼ってあるギターを歴としたインレイが入っていると考え、別に分類していましたが、『井上陽水 作品全集』の表紙では明らかにヘッドのロゴがS.Yairiであることから、同一のギターと判断しました。

ただし、『もどり道』のジャケット裏と同じときに撮影されたと思われる別の写真からすると、同じ型番かどうかはわかりませんが、どうやら陽水はヤイリを少なくとも2本は持っていたようです。
もう1本の方は5フレットのポジション・マークがやや大きめに見えるので、上記のシールらしきものは、貼ってあるのと貼っていないのがあるのかも知れません。
写真の角度による反射のせいかも知れませんが、陽水のアパートに無造作に置かれているこのギターの写真では、ピックガードの周りに相当のひっかき傷(ピック・スクラッチ)が入っているように見え、他の写真では見えないので、シールらしきものが貼ってあるのが傷んでいない方でしょうか。


Taylor

LKSM

種類12弦フォーク
メーカーTaylor
型番LKSM
製造年1990年代
トップシトカ・スプルース
サイドマホガニー
バックマホガニー
ネックマホガニー
指板エボニー
ブリッジエボニー
サドルタスク
ピックガードなし
その他の特徴シングル・カッタウェイ、ピックアップつき
▲PAGE TOP

レオ・コッケ・モデル。
LKSMという型番は「Leo Kottke Signature Model」の略です。

94年頃から使われ始めています。
「新しいラプソディー」や「最後ニュース」での御用達。

このギターもJ-45同様、『The Premium Night』ではキーを2つ下げてチューニングされています。
2006年10月16日のよこすか芸術劇場ではこのギターで「ジェラシー」が始まりましたが、2007年04月13日(グリーンホール相模大野)のコンサートではノーマル・チューニングのD-55を使用していました。
横須賀のときだけ「ジェラシー」をGmで唄ったのか、それともこのときはノーマル・チューニングだったのか、いまとなってはわかりません。

このギターは当初、エア・マイクとFISHMANのピエゾをブレンドして出力していたそうです。
その後、EMGのピエゾに変更。
現在はFISHMAN製のRare Earthがサウンド・ホールに取りつけられているのを確認できます。
12弦だとマグネティック・タイプだけでは不安がありますから、何か別のピエゾなりエア・マイクなりが同時に作動していると考えられます。

XX-MC 20TH ANNIVERSARY

種類6弦フォーク
メーカーTaylor
型番XX-MC
製造年1994年
トップシダー
サイドマホガニー
バックマホガニー
ネックマホガニー
指板エボニー
ペググローヴァー製ロトマティック(金)
ピックガードなし
その他の特徴ピックアップつき
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1994年のTaylor創業20周年記念モデルです。
限定250本。
12から18フレットにかけて入っているインレイが特徴です。

90年代末から00年代半ばにかけてしばしば起用されました。
映像としてはNHKで放送されたBlue Noteでのライヴでも確認できます。
J-45の代わりに登場しましたが、J-45が再復活して以降、見かけなくなりました。
最後の使用は、井上陽水奥田民生として『ハッピークリスマスショー』出演時(06年12月24日)の「クリスマス・バニラシェイク」でしたが、『井上陽水 マニアックカタログ』(13年04月07日)で久しぶりに登場。

99年09月24日の六本木スイートベイジル139でのシークレット・ライヴではゲスト出演した忌野清志郎(「帰れない二人」)が、『空想ハイウェイ ACT II』(04年08月05日)では三上 寛(「夢は夜ひらく」)と加川 良(「教訓I」)がこのギターを借りて演奏しました。


Terry's Terry

#20

種類6弦フォーク
メーカーTerry's Terry
製造年1991年頃
トップスプルース
その他の特徴ピックアップ2種(SUNRISEマグネティック・FISHMANピエゾ)つき
▲PAGE TOP

92年のSparkling Blueツアーや94年『永遠のシュール』でのツアーで使用、シングル「移動電話/カミナリと風」のジャケットで持っているギターです。
当時は他メーカーとの契約の都合でもあったのか、表立った写真ではことごとくヘッドのブランド名が消されていました。
ヤマハのギター制作者中本輝美が独立後立ち上げたブランドで、このギターのシリアル番号は20だそうです。
1本ずつが受注生産で、とくに型番というものは存在しません。
メイプル材も使用されているのがわかっているのですが、具体的にどの部分にか正確にはわからないので、表には書きませんでした。
サウンド・ホールを挟むかたちでピックガードが左右両方についています。
現在は依布サラサが使用しているようです。

このギターは最初からステージ用と考えられており、制作時すでにピックアップが2つついていたらしく、ひとつはサウンド・ホールにSUNRISE製、もうひとつは外からはわかりませんが、FISHMANのピエゾだったそうです。


ヤマハ

(不明)

種類6弦フォーク
メーカーヤマハ
その他の特徴ピックアップまたはエア・マイク内蔵
▲PAGE TOP

76年頃の写真にあるギター。
派手なかたちのピックガードがサウンド・ホールを挟んで、左右両方に貼ってあります。

これと全く同じ見た目のギターはおそらく一般発売されていません。
ジャンボ・タイプでこの頃のYAMAHAでは似たような胴型としてL-52等があります。
完全なオーダー品か、あるいは78年から発売されたCJ(カントリー・ジャンボ)シリーズのモニター用試作品でしょうか。

サイド右下にジャックが見えるので、ピックアップかエア・マイクが内蔵されているようです。

APX-9-12

種類12弦エレクトリック・アコースティック
メーカーヤマハ
型番APX-9-12
製造年1986年?
ブルー・バースト
トップスプルース
サイドアガチス
バックアガチス
ネックマホガニー
指板パリサンドル
ブリッジパリサンドル
ピックアップSYSTEM-13C
その他の特徴APXカッタウェイアーチドバック
▲PAGE TOP

『STARDUST RENDEZ-VOUS』のとき、「新しいラプソディー」で使用した12弦ギター。
発売された映像ではこの曲はカットされていますが、ギター・スタンドに立てかけてあるのが見えます。
一般向けの発売は87年だそうです。

APX-50

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーヤマハ
型番APX-50
製造年1986年?
ブラック・バースト
トップスプルース
サイドシカモア
バックシカモア
ネックマホガニー
指板エボニー
ブリッジエボニー
ピックガードAPX用透明
ピックアップSYSTEM-13G
その他の特徴APXカッタウェイアーチドバック
▲PAGE TOP

87年03月の発売らしいのですが、86年の映像ですでに使用されています。
契約アーティストに対する試供品のようなかたちだったのか。
一時期このAPXシリーズはほとんどが廃版になりましたが、最近少しずつ復活してきています。
サウンド・ホールやブリッジの形状が当時のものとは少し違う他、いまのところ最上位モデルでもヘッドやボディに貝によるバインディングは入っていません。
このギターはヤマハの改良型2wayピックアップ搭載で、エンド・ピン・ジャックからはモノラル、それより下の、たとえばギブソンのJ-160Eのような場所にあるジャックからはステレオで出力できます。
ステレオでは左右で高音弦と低音弦、または奇数弦と偶数弦の分離といった面白い出力ができます。
プリアンプ搭載。

多くの一般発売分(といっても受注生産品)のサウンド・ホール周りは茶色ですが、陽水使用モデルは黒です。
陽水使用個体にはバック内側に、通常この機種にはないブレイジングが横に入っているのが見えます。
透明のAPX専用型ピックガードつき。

『夜のシミュレーション』では左肩に文字が書かれていますが、何と書いてあるのか読めません。
この文字は『加山雄三ショー』出演時(89年01月16・23日)には消されているのが確認できるので、直接書いたのではなく、字の書かれたシールが貼ってあったのでしょう。
このときは加山雄三が「旅人よ」を、のちの結婚10周年パーティ(89年03月07日)ではかまやつひろしが「我が良き友よ」、玉置浩二が「ワインレッドの心」・「恋の予感」をこのギターを弾いて唄いました。
ここ20年以上、使用の機会はないようです。

F-340

種類6弦フォーク
メーカーヤマハ
型番F-340 BL
トップスプルース
サイドメランチ
バックメランチ
ネックナトー
指板ローズウッド
ブリッジローズウッド
▲PAGE TOP

「森花処女林」のプロモーション・ヴィデオで使用されたギター。
特徴はヤマハの同価格帯ギターよりヘッドのY字型インレイが若干大きいことです。
おそらく定価2万円前後のはずですので、陽水所有ではなく、撮影用の可能性が高いです。

このギターにはナチュラルと黒の2種があり、黒は日本では発売されなかったかも知れません。

FG-150


種類6弦フォーク
メーカーヤマハ
型番FG-150
製造年1966〜69年
ナチュラル
トップスプルース
サイドマホガニー
バックマホガニー
ネックマホガニー
指板ローズウッド
ブリッジローズウッド
▲PAGE TOP

『ヤング・センス』1972年夏号の「特集グラフ」にある「井上陽水のアパート独り暮らし」という写真で見えるギター。
この号の冒頭には「井上陽水の夏休みフォークギター塾」というコーナーがありますが、そこで写っているのはYD-304です。
このギターはヤイリとはピックガードの形状とボディ・タイプが異なります。
ヘッドの形状からヤマハの察しはついていましたが、確証がなかったため、当初は[不明]に分類していました。
その後、『平凡パンチ』(1972年12月04日号)で別の角度からの写真が掲載されているのを発見、ロッド・カヴァーの反射具合やブリッジの形状からFG-150と判断しました。

同180(ドレッドノート)とともに、初の日本製フォーク・ギターでした。
初発売時の定価は15,000円です(その後値上げ)。
陽水所有個体はロッド・カヴァーが釣鐘型に見えるので初期型ですが、ヘッドの上2/3が見えないため、ロゴがわからず、製造年をこれ以上特定できません。

YD-304の項で『満月 空に満月』から引用しましたが、発売年・価格から考えて、これこそが「自分で買った初めてのギターだった」のではないでしょうか。
春日のように、人からもらった可能性もありますが。
少なくともYD-304より入手は先だと思います。

『guts』(1973年08月号)にあるインタヴィューの「陽水の財産リスト」という項目では、「ギター 4本」とあります。

メインヤイリ
12弦春日を手放しマーチン風
エレクトリック『断絶』ジャケット
家用?FG-150

でしょうか。
73年07月ならすでにヤイリは2本あったはずですし、数が合いません。
『断絶』のエレクトリックは撮影用でしょうか。
それともこのFG-150はすでになかったのでしょうか。

なお、このリストによるとこの時期、ハーモニカを14本、それから「お母さんから譲りうけた」という三味線を持っていたそうです。

FG-550

種類12弦フォーク
メーカーヤマハ
型番FG-150
製造年1969年
ナチュラル
トップスプルース(単板)
サイドハカランダ(単板)
バックハカランダ
ネックマホガニー
指板エボニー
ブリッジエボニー
▲PAGE TOP

「カンドレ・マンドレ」のジャケット裏写真で使われています。

ピックガードの形状が違うため、春日ではなく、ボディ形状が違うため、マーチン風でもありません。
ピックガードのネックとの接触部分の形状からするとおそらくヤマハのはずで、サウンド・ホールの太いリングが一番外側にもあることから、廉価版のFG-230ではなく、550と判断しました。
発売が69年05月だそうで、「カンドレ・マンドレ」をRGBに持ち込んだのが04月、東京での録音が06月、このとき一緒にジャケット撮影も行われたとして、発売直後の製品を使っていたことになります。
本人のものではない撮影用でしょうか。

L-31A

種類6弦フォーク
メーカーヤマハ
型番L-31AE
製造年1977〜87年
トップスプルース
サイドハカランダ
バックハカランダ(3ピース)
ネックマホガニー
指板エボニー
ブリッジエボニー
ピックガード本べっこう?
その他の特徴YAMAHA旧仕様ピックアップつき
▲PAGE TOP

小椋 佳のNHKホールでのコンサートにゲスト出演時(87年06月07日)、「少しは私に愛を下さい」で使用していました。

当初ボディ色からL-10Tかと思っていましたが、ヘッドにロゴ以外のインレイのようなもの(「Nippon Gakki Co.,Ltd. SINCE 1887 TRADITIONAL ARTIST MODEL MADE IN JAPAN」のはず)が見えること、ボディのバインディングが破線ではないこと、ブリッジの曲線部に若干の割れ目のようなものが見えることから、L-31Aに変更しました。

このギターのロッド・カヴァーとピックガードには本べっこうが使われているものがありますが、年代によるようですので、表にはクエスション・マークをつけました。

LA-47

種類6弦フォーク
メーカーヤマハ
型番LA-47
製造年1982〜84年
トップスプルース
サイドインドローズ
バックインドローズ
ネックマホガニー
指板エボニー
ブリッジエボニー
▲PAGE TOP

84年ツアー・パンフレットの使用ギター一覧にありますが、実際の使用シーンは見たことがありません。
F-55同様、誤植の可能性もあります。
ちなみに下記LA-57とはヘッドのラベルが違います。

LA-57

種類6弦フォーク
メーカーヤマハ
型番LA-57
製造年1982〜86年
トップスプルース
サイドハカランダ
バックハカランダ(3ピース)
ネックマホガニー
指板エボニー
ブリッジエボニー
ピックガード透明
その他の特徴YAMAHA旧仕様ピックアップつき
▲PAGE TOP

発売は82年12月だそうです。
サイドに大きいノブが3+1つある旧仕様のピックアップがついています。
ピックガードは透明。

『クラムチャウダー』での使用時にはピックガードの少し下に肌色のテープが貼ってあります。
内蔵型のピックアップは後づけで、当初はコンタクト・タイプだったのでしょうか。
『夜のシミュレーション』ではテープを剥がした跡がはっきり見えます。

80年代半ばから90年頃まで陽水がとくに愛用していたギターです。
映像での確認は『クラムチャウダー』から。
『夜のシミュレーション』での使用が記憶に残ります。
その後『とんねるずのみなさんのおかげです』内「井上陽水物語」でも使用されていました。

LA



種類6弦フォーク
メーカーヤマハ
型番LA
製造年1982〜88年
ピックガード透明
その他の特徴YAMAHA旧仕様ピックアップつき
▲PAGE TOP

使用例は『夜のシミュレーション』のみ。
ギブソンのロゴ入りストラップがついてる方で、「WHY」と「眠りにさそわれ」で使用されています。

永くLA-57をもう1本用意したものと勘違いしていました。
陽水使用のLAはいずれもツー・ピース・バックで、一部製品にスリー・ピース・バックがあるものと思っていましたが、スリー・ピース・バックこそが57のアイデンティティであることを最近になって知りました。
となるとツー・ピースのこのギターは少なくとも57ではありません。
『夜のシミュレーション』ではツー・ピースのこのギターは裏板がはっきり見えますが、もう1本についてはよく見えず、ヘッドのラベルからいずれも57だと判断していました。
しかし「WHY」と「眠りにさそわれ」以外で使用されるギターはスリー・ピースのため、サイドのネック・ヒールに接しているところにバインディングが入っており、ツー・ピースのこちらには入っていません。
『とんねるずのみなさんのおかげです』内「井上陽水物語」ではスリー・ピースなのが裏板からも確認できます。

先に挙げた47はツー・ピースですが、ヘッドにラベルがありません。
ツー・ピースでヘッドにラベルがあるのは、唯一87年発売のLA-90です。
LA-90にはデフォルトで透明ピックガードもついていましたので、いよいよこのギターに近いのですが、陽水使用個体は旧タイプの純正ピックアップが取りつけられています。
LA-90は確かに標準でピックアップが取りつけられていますが、すでにこの時期にはAPXが発売されており、ピックアップは新型でした。

ということで考えられるのは3つ。

  1. 実はこれこそが47で、当時としては標準の旧型ピックアップとヘッドのラベルをつけた。
  2. 当時としては標準の旧型ピックアップをつけた57をツー・ピース・バックで作った。
  3. LA-90の提供があったが、ピックアップは旧仕様だった。

どれも説得力が弱いです。
ヤマハは有名使用者向けによくカスタム品を提供するので正直よくわかりませんが、ヘッドのラベルは飾りとはいえ、シリーズ初発売時には57にのみ許された最上位の証であり、47にはつけられないでしょう。
また先に述べたように根本の構造に関わるツー・ピースでは57とは呼べません。
残るピックアップは、進化が技術力の証で、好き好んで旧型をつける意味はありません。
それでも、一番近いのは90でしょうか。

ということでこのギターにはっきりとした型番を認めることはできません。
わかりやすい呼び方もないため、LAとのみしました。
アルファベット順だとLAの一番始めに置くべきですが、紛らわしいのでここに配置します。


不明

(『女番長 野良猫ロック』)


種類12弦フォーク
ナチュラル
ピックガード
その他の特徴スロッテッド・ヘッド
▲PAGE TOP

『女番長 野良猫ロック』出演時に使用している12弦ギター。
シングル盤「花にさえ、鳥にさえ」のジャケットに写っているものと同一です。
クラシック・ギターによく見られるスロッテッド・ヘッドで、ピックガードの形状、肩の曲線、12フレット・ジョイント等、マーチンのD12-20に酷似しています。
サイドにバインディングがなさそうなので、D12-35ではありません。
当時本物のマーチンを手に入れる余裕があったのか。
同じタイプの6弦ギターであるD-28SまたはD-18Sのコピー品を、信頼できるところではたとえばカワセ楽器が作っていたようですが、マスターならヘッドのロゴがはっきり見えるはずですし……

なお、『もどり道』のジャケット裏には、YD-304の弦を張り替える陽水の姿が映っていて、その向かって右側にもギターが立てかけられています。
このギターはブリッジ・ピンが2段になっていることから、12弦ギターです。
固定型のサドルと、ピン横に飾りがないことから、春日ではありません。
このマーチン風ギターでしょうか。

(『断絶』ジャケット)

種類エレクトリック
▲PAGE TOP

『断絶』ジャケット写真他でソフト・ケースに入って陽水のかたわらに寝かされています。
階段を滑り落ちそうでおっかない。

(『井上陽水 孤独の世界』表紙)


種類6弦クラシック
▲PAGE TOP

『井上陽水 孤独の世界』表紙に使用されている写真で見ることのできるクラシック・ギター。
着ているセーターの柄と背景の模様が、『断絶』のインナー・スリーヴと同一です。
出所不明のモノクロ写真は服が違いますが、ギターは同一でしょうか。
このギターは単なる撮影用で本人のものではないかも知れません。

(所ジョージからのプレゼント)

▲PAGE TOP

以下、所ジョージのライヴ盤『LIVE 絶滅の危機』より、坂崎幸之助との会話を引用します。

所「これやりますか」
坂「次、7カポですよ」
所「そんな高かったでしたっけ?」
坂「そう」
所「こんなですか? ああ、これは弦が堅くなって弾きづらいですね〜」
坂「ふはははははははは」
所「大丈夫ですか、これで?(笑)」
坂「おお、いいよいいよ(笑)」
所「人間、弾けるものですか? ここで(笑)」
坂「弾ける弾ける弾ける。大丈夫」
所「驚きましたね、私は」
坂「そう?(笑)」
所「この辺、使ったことないですから、ギターって」
坂「ふはは、昔そういえばさ」
所「何のためにここがあんのかよくわからない」
坂「短いの作んなかった? 所」
所「ああ、5フレット」
坂「5フレット(笑)」
所「ここまでのギターね。どうせここしか使わないんだからここまででいいよって短いギター作ったんですよ、私。ええ、こういう短いのをね。はじめからカポが5にあるようなギターをね(笑)。あれはね、井上陽水さんとこに行ってます」
坂「ああ、そう」
所「うん。井上陽水さんにギターあげるつって、あげたんですよ。そしたらあまりの短さに驚いてましたね(笑)。『ああ、ありがとう』って言ってましたけど」
坂「じゃあ所は拓郎さんにも陽水さんにもあげてんだ、ギター」
所「すごいよ」
坂「すごいね」
所「すごいよ」
坂「すごいすね〜」
所「ええ。普通陽水さんの方からくれんじゃないの? 俺に。後輩に」

製造者名や詳細なギターの種類等一切不明ですが、おそらくフォーク・ギターでしょう。
いつか現物を見ることはできるでしょうか?w


その他

Gibson LG-0(『氷の世界』ジャケット)

種類6弦フォーク
メーカーGibson
型番LG-0(改)
製造年1963〜68年
トップマホガニー
サイドマホガニー
バックマホガニー
ネックマホガニー
指板ローズウッド
ブリッジローズウッド
ピックガード
その他の特徴テイル・ピース、クルーソン・デラックス・チューナー、アッパー・ベリー・ブリッジ
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以前から推測がありましたが、『LIFE 井上陽水 40年を語る』(NHK教育/2009年08月24〜27日)で忌野清志郎からの借りものと確認できました。

ボディ色とヘッド及びピックガードの形状から型番を判断しましたが、風変わりなのは、同シリーズや後継のBシリーズの12弦モデルのように、テイル・ピースがついていることです。
しかしブリッジにピン・ホールが6つあり、ピンを挿していません。
フォーク・トリオだった頃のRCサクセションの映像では破廉ケンチのギターにもテイル・ピースがついているのが確認できるので、バンドとして申し合わせた上での改造だったのでしょうか。

C. F. Martin 5-18(『ニューヨーク24時間漂流コンサート』)

種類6弦フォーク
メーカーMartin
型番5-18
トップシトカ・スプルース
サイドマホガニー
バックマホガニー
ネックマホガニー
指板ローズウッド
ブリッジローズウッド
ピックガード
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小室 等の『ニューヨーク24時間漂流コンサート』(81年04月18日収録)出演時、セントラル・パークのダコタハウス前にて、吉田拓郎とベンチに座って「If I fell」・「All my loving」・「And I love her」等を唄うときに弾いたギター。
「青空、ひとりきり」も唄ったらしいのですが、よくわかりません。

マーチンの小型ギターで、バックパッカーではありませんが、トラヴェル・ギターの一種です。
ラジオ局(TBS)側が用意したものとしてははまりすぎている気がします。
当時マーチンが好きだった小室 等からの借りものでしょうか。

ここに挙げた写真が表紙になっている『週間FM東版』(81年05月25日号)には、

 また、楽器好きの3人はタイムズ・スクエアにある楽器店街に入りびたり、小室サンと陽水はそれぞれギターを買ったが、拓郎は目うつりして、とうとう買わずじまいだったというエピソードも残してきた。

とあります。
こんなときにしか使いようもない小型ギターをわざわざ購入するとも思えませんので、別のギターのことかと思いますが、どちらにしてもこのギターについての情報は他にないため、所有一覧ではなく、ここに配置しました。

K.Yairi TG-55(南こうせつサマー・ピクニック・ファイナル)


種類6弦フォーク
メーカーK.Yairi
型番TG-55
製造年1970年代後半
アンティーク・サンバースト
トップえぞ松またはスプルース(単板)
サイドローズウッド
バックローズウッド
ネックホンジュラス・マホガニー
指板ブラック・エボニー(メキシコ貝入り)
チューナーグローバー
ピックガード
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南こうせつサマー・ピクニック・ファイナル(90年08月11〜12日)飛び入り時に「最後のニュース」を弾いたギター。
吉田拓郎からの借りものです。
谷口楽器とK.YairiによるGuildD-55のコピー品です。

同じギターを小室 等が弾いている写真が残っていますので、同一個体が行き来しているのかも知れません。

Ovation(『筑紫哲也NEWS23』)

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーOvation
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『筑紫哲也NEWS23』出演時(2回目/90年11月22日)に「ワカンナイ」を弾いたギター。

(『とんねるずのみなさんのおかげです』)

種類6弦フォーク
ピックガード
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『とんねるずのみなさんのおかげです』出演時(90年)にアパート風セット内で「Tokyo」・「ギャラリー」・「Pi Po Pa」等を弾いたギター。
トップ右下に「TV JOCKEY」というシールが貼ってあります。

Ovation(『ねるとん紅鯨団』)

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーOvation
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とんねるずの『ねるとん紅鯨団』出演時(90年)に「Tokyo」を弾いたギター。

Ovation(T & T)

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーOvation
型番ADAMAS
その他の特徴シングル・カッタウェイ
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タモリ・玉置浩二(T & T)とのTV出演時に「Tokyo」・「Till there was you」・「いっそセレナーデ」・「枯葉」等を弾いたギター。
TV局が用意したものではなく、玉置浩二所有かも知れません。
その後玉置浩二が受け取り、「夏の終わりのハーモニー」を一緒に唄いました。

(『タモリ倶楽部』)

種類6弦フォーク
ピックガード
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『タモリ倶楽部』出演時(92年12月18日)に「空耳アワー」で「心もよう」を冒頭3小節ほど弾いたセット内のギター。
投稿に対する賞品として安斎 肇夫人・香代子さんに贈られたはずです。

Morris TC-1(長崎・普賢岳噴火災害救済コンサート)


種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーMorris
型番TC-1
オレンジ・サンバースト
トップスプルース(単板)
サイドグラスファイバー
バックグラスファイバー
指板ローズウッド
その他の特徴シングル・カッタウェイ
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長崎市公会堂での長崎・普賢岳噴火災害救済コンサート(94年03月13日)にゲスト出演時、楽屋で弾いたギター。
おそらく泉谷しげるからの借りものです。
当初泉谷しげるの愛用ギター一覧から型番を拾ってきて、TC-601としていましたが、ヘッドのインレイからTC-1に変更しました。
ボディはグラスファイバー製。
泉谷しげるは同時期にTC-2も使用しています。

ウルトラフォーク II


種類6弦フォーク+遠隔操作装置
制作明和電機
型番ウルトラフォーク II
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『恵の新春スペシャル 夢の中へ 隠れ名人・噂の達人を探せ!!』(02年01月06日)で試奏したフォーク・ギターを遠隔操作する明和電機製の装置。
左手でリモート・コントローラのキーを押さえると、ギターにつけられたカポタストのような部品がセーハをするので、オープン・チューニングなのでしょう。
ギター本体は替えが利く模様。

K.Yairi(ALVAREZ)WY1

種類6弦エレクトリック・アコースティック
メーカーK.Yairi(ALVAREZ)
型番WY1
トップシダー
サイドマホガニー
バックローズウッド
ネックローズウッド
指板エボニー
ブリッジエボニー
ピックガード透明
その他の特徴シングル・カッタウェイ
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『HEY!HEY!HEY!』出演時(02年12月02日)に「よっちゃんイカ」を弾いたギター。


備品

ハーモニカとハーモニカ・ホルダ



撮影:S氏
種類10穴ハーモニカ
メーカーHohner
型番Marine Band
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ハーモニカは備品ではなく、純然たる楽器ですが。

使用がわかっているのはホーナーのマリーン・バンドです。
「氷の世界」も「いつのまにか少女は」もGmのため、Bが用意されています(最近、「いつのまにか少女は」は半音落としているようです)。

なお、ハーモニカ・ホルダはわかるだけでも、トンボ製旧型(HH290)・改良型(HH800)、HORNER製(S)等、様々なものを使っています。
以下の使用例はハーモニカ・ホルダのものです。

フォーク弦



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シングル「御免」のジャケット写真ではD-55の弦を張り替えています。
机の上に新しい弦の空袋が載っていて、これにKAWASEという文字が見えます。
神田のカワセ楽器オリジナル弦で、当時からえらく安かったことで有名です。
現在は真空パックのビニール袋入りになっています。

ゲージは不明ですが、陽水はライトくらいでしょうか。
当時吉田拓郎もこのカワセ弦を愛用していたという話を聞いたことがあります。

ちなみに『STARDUST RENDEZ-VOUS』のLP盤ジャケット裏には、スペシャル・サンクスとして「Dadarioママ Strings」とあります。
これは有名な弦メーカーであるD'Addarioのことでしょう。
このときダダリオが弦を陽水に提供したのか、安全地帯に提供したのか、どちらにも提供したのか、弦以外の面での協力だったのか、さっぱりわかりませんが、84年のツアー・パンフレットでは六土開正の使用楽器一覧に「D'addario bass strings」とあるので、この絡みでしょうか。

なお、何処かで聞いた話ですが、現在陽水がステージで使用するギターにはghsのBRIGHT BRONZE/ライト・ゲージが張られているそうです。

エレクトリック弦


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76年発売の『井上陽水作品全集 招待状のないショー』という楽譜集に、弦のパックを右手で持ちながら、立てかけてあるストラトキャスターに左手で触っている写真が掲載されています。
この弦は70年代にイギリスのSOUND CITYが発売(製造はB.M.S.)していたエレクトリック用弦のうちのエリック・クラプトン・モデルです。
見つけることのできたミディアム、エキストラ・ライト、スーパー・ウルトラ・ライトの3種の画像のうちでは、エキストラ・ライトのパッケージ・デザインにもっとも近いので、ここに挙げておきます。
ただしデザインの違いは年代によるようです。

ピック



種類トライアングル型ピック
メーカーJim Dunlop
型番NO.431
材質Torex
厚み0.73mm
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シングル「御免」のジャケット写真では、黒と茶色(?)のピックが机の上に載っています。

『クラムチャウダー』での「傘がない」弾き語りシーンではギターのヘッド側からボディにかけてのアップがあり、白いピックを使っているのが見えます。
Fenderあたりでしょうか。

『夜のシミュレーション』では、使用された3本のギター全ての6弦ペグとナットのあいだに、予備として挟み込まれているのが見えます。
光の加減かオレンジに見えますが、備品台の上に置かれた数枚は黄色です。

『井上陽水1999-2006』に掲載されているストラトキャスターを弾く2000年の写真でも、やはりトライアングル型黄色のピックを使っていることがわかります。
『UNITED TOUR』のタイトル画面でのXX-MCや、『空想ハイウェイ ACT IV』でJ-45に挟んであるのも黄色いピックです。

『夜のシミュレーション』以降をジム・ダンロップ製としたのは、他に大手で黄色いピックを製造しているところがなさそうなのと、アップ画像でうっすら亀に似た絵柄が見えなくもないからです。
とくに『空想ハイウェイ』では、かなり亀の絵に近いのが確認できます。
何となく井上陽水という人はオリジナル・ピックは作らない気がします。

以上のように書いておきましたが、『別冊カドカワ』の「総力特集 井上陽水」(10年)内「ファンと陽水それぞれの物語」という項目に「カメマーク入りの黄色いピック」を拾ったという投稿がありますので、ダンロップ製で間違いありません。

カポタスト


種類カポタスト
メーカーSHUBB
型番C1
材質ニッケル他
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もともと陽水はカポタストをつけての演奏があまり好きではないようで、こだわりもなさそうです。
以下、見覚えのあるカポタストをざっと挙げておきます。

映像・画像曲名種類・商品名
72〜3年頃の弾き語り映像傘がないゴム式
『陽水Special』傘がないゴム式
『クラムチャウダー』ミスコンテストゴム式
『夜のシミュレーション』氷の世界ゴム式
Sparkling Blueツアー最終公演いつのまにか少女はゴム式
RE-SESSIONツアーJust FitSHUBB製
『UNITED TOUR』Make-up ShadowSHUBB製
『ハロー、グッバイ』旅人よSHUBB製
『The Premium Night』白いカーネーションSHUBB製
『40th Special Thanks Live in 武道館』Make-up ShadowSHUBB製

シャブはデラックス・タイプかどうかまではわかりません。
シャブを使用するときには、いずれの場合でも、蝶番の部分が1弦側から上に向けて挿されています(たとえばポール・サイモンやレオ・コッケは同カポタストを上から挿しています)。

ストラップ




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ストラップについては、メーカーのわかるものだけざっと。

映像・写真ギターメーカー(型番)材質(色)
小室 等の素晴らしき音楽仲間ストラトキャスターFender(Monogrammed)合成繊維(白)
『クラムチャウダー』LA-57Gibson合成繊維
『夜のシミュレーション』APX-50YAMAHA皮革
『夜のシミュレーション』LAGibson合成繊維
『Curve』リハーサルFE-T100ERNIE BALL(POLYPRO)合成繊維(4040)
Sparkling Blueツアー最終公演YD88Gibson合成繊維
『SPA!』表紙T's TGibson合成繊維
『HEY! HEY! HEY!』(95年)ストラトキャスターFender(Monogrammed)合成繊維(赤)
RE-SESSIONストラトキャスターFender(Monogrammed)合成繊維
RE-SESSIONAA-82Fender(Monogrammed)合成繊維(白)
『井上陽水1999-2006』ストラトキャスターERNIE BALL(POLYPRO)合成繊維(黒)
『井上陽水ベストファイル』表紙LKSMFender(Monogrammed)合成繊維
『ROMANCE GRAY 35』XX-MCERNIE BALL(POLYPRO)合成繊維(ネイヴィ)
『The Premium Night』D-55ERNIE BALL(POLYPRO)合成繊維(黒)
40周年ライヴLKSMERNIE BALL(POLYPRO)合成繊維(オリーヴ)

ギブソンのロゴが入ったストラップは『クラムチャウダー』LA-57についていたのが、『夜のシミュレーション』ではもう1本のLAに行き、91年のライヴ・ハウス・ツアーではJ-45、Sparkling Blueツアー最終公演ではYD88に、『SPA!』表紙撮影時にはT's Tにつけられ、その後見かけなくなりました。
そのT's TにSparkling Blueツアー最終公演でつけられていたストラップ(メーカー不明)は『ミュージック・ステーション』での「ありがとう」や『UNITED TOUR』での「心もよう」でJ-45についているのが確認でき、そのまま『The Premium Night』『40th Special Thanks Live in 武道館』で使用されています。
この派手な柄のストラップは、前方の皮革部分に「Y.I」とイニシャルが入っているので、特別注文品でしょう。

40周年の宣伝用写真では、革製と思われるストラップが新しく2本登場しました。
ひとつは、ビーズのような細かい飾りのついたストラップで、宣伝用写真ではギターが写っていないのでわからないのですが(傾き加減から見てエレクトリック・ギターでしょう)、「Love Rainbow」のプロモーション・ヴィデオや『40th Special Thanks Live in 武道館』D-55につけられているものです。
宣伝用写真とそれ以外では、似たデザインでパターンの違うストラップに見えますが、取りつけている方向を逆にしているだけです。
もうひとつはメタル風の、四角い鋲が横に3つずつ打ってあるタイプで、モッキンバードスーパー・チェットにつけられていました。
色々と探してみたなかでは、Laid BackのLGS3900Aがこれに一番近いようですが、たとえば『40th Special Thanks Live in 武道館』では似たようなデザインのベルトもしているので、特別注文品でしょうか。
鋲が金属なら、結構な重たさでしょう。
そのためか、こちらは実際のステージでは使われなかったようです。

ギター・アンプ


種類真空管アンプ
メーカーFender
型番Twin Reverb
出力100W

74〜75年頃と思われるリハーサル風景の写真でスーパー・チェットがフェンダーのツイン・リヴァーヴと思われるアンプに立てかけられているのが見えます。
「Fender」のロゴに下線が入っていないようなので、74年の何回目かのマイナー・チェンジ後の製品です。



種類アンプ
メーカーRoland
型番JC-60
出力60W
スピーカ30cm x 1

パンフレットによると82・84年のツアーではローランドのJC-60が使用されることになっていたようです。
JCは「Jazz Chorus」の略。
『ミスキャスト!? 沢田研二 VS 井上陽水(サンデープレゼント)』出演時(82年12月12日)の「リバーサイド ホテル」や「ワカンナイ」では、陽水のシールドが向かった先、ドラムの前に、それらしきアンプが見えます。


種類アンプ
メーカーRoland
型番JC-120
出力120W(60W+60W)
スピーカ30cm x 2
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最近は、広い舞台上だと距離があってよくわからないのですが、遅くとも91年くらいからは、やはりローランドのJC-120と思われるギター・アンプが用意されていることが多いです。
ただし向かって左上のロゴが取れてしまっているようです。

チューナー



種類クロマチック・チューナー
メーカーRoland(BOSS)
型番TU-12

『夜のシミュレーション』『Curve』では備品置きのテーブルの上に、Roland(BOSS)製のTU-12が載っているのが見えます。


種類クロマチック・チューナー
メーカーKORG
型番AW-1

2005年頃からは、KORG製AW-1が使用されています。
ピエゾ・ピックアップつきで環境に左右されずにチューニングできるクリップ式のクロマチック・チューナー。
この発想の商品は以前から存在しますが、試供品提供でもあったのか、このKORG製が発売されてから、多くのミュージシャンが一斉に使用するようになりました。
ほとんど全ての種類の楽器に装着でき、ギターの場合はヘッドに挟むのが一般的です。
陽水の使用例は『The Premium Night』ではっきりと確認できます。
このときはJ-45D-55につけられています。
『FM802 MEET THE WORLD BEAT 2006』(06年07月24日)ではストラトキャスターにも装着されていました(このときは用意されていながら結局最後までこのストラトキャスターは使用されませんでした)。
SWITCH20周年ライヴでは「海へ来なさい」の演奏前に使用シーンを確認できます。
この製品、逆向きに取りつけた方が明らかに演奏者にとって使いやすく、陽水の楽器担当者が正面向きに取りつけているのをかねがね不思議に思っていましたが、40周年ライヴではようやく逆につけています。

なお、正確にはAW-1(シルバー)とAW-1PW(パール・ホワイト)が両方使用されています。


種類クロマチック・チューナー
メーカーKORG
型番AW-2
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遅くとも2011年からは、先のAW-1の最新版である、AW-2が使われています。
クロマチックのAW-2なのか、ギター用のAW-2Gなのか、外観からはわかりませんが、J-45等はたいがいトゥ・ハーフ・ステップス・ダウンなので、クロマチックでしょう。


主要映像作品ギター一覧

『クラムチャウダー』

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曲名使用ギター
帰れない二人 FE-T100
招待状のないショー FE-T100
カナリア FE-T100
ミスコンテスト FE-T100
とまどうペリカン FE-T100
娘がねじれる時 FE-T100
ミスキャスト 330
TRANSIT なし(マイク・スタンド)
ダンスはうまく踊れない FE-T100
新しいラプソディー 1615
傘がない LA-57
灰色の指先 なし(マイク・スタンド)
飾りじゃないのよ 涙は 330
ジャストフィット 330
ワインレッドの心 なし(ハンド・マイク)
いっそセレナーデ なし(ハンド・マイク)
Frozen Eyes なし(ハンド・マイク)
結詞 FE-T100(途中からハンド・マイク)

『STARDUST RENDEZ-VOUS』


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曲名使用ギター
ミスキャスト APX-50
ワインレッドの心 なし(ハンド・マイク)
帰れない二人 APX-50
夕立 APX-50
ジェニー My Love なし(マイク・スタンド)
夢の中へ 330
飾りじゃないのよ 涙は 330
夏の終わりのハーモニー なし(ハンド・マイク)

『夜のシミュレーション』


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曲名使用ギター
東へ西へ LA-57
ワカンナイ LA-57
MOON LA-57
映画に行こう LA-57
全部GO LA-57
Negative LA-57
氷の世界 APX-50
この頃、妙だ APX-50
飾りじゃないのよ 涙は APX-50
We Are 魚 LA-57
海へ来なさい なし(ハンド・マイク)
招待状のないショー なし(ハンド・マイク)
ジェラシー APX-50
ダンスはうまく踊れない APX-50
闇夜の国から APX-50
WHY LA
いっそセレナーデ なし(ハンド・マイク)
暑い夜 LA-57
眠りにさそわれ LA

『Curve』


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曲名使用ギター
氷の世界 J-45(1st)
暑い夜(リハーサル) FE-T100
Tokyo J-45(1st)
なぜか上海 J-45(1st)
(本番前) FE-T100
映画に行こう J-45(1st)
飾りじゃないのよ 涙は J-45(1st)
ジェラシー J-45(1st)
ジングル・ベル J-45(1st)
最後のニュース J-45(1st)
いっそセレナーデ J-45(1st)
バレリーナ LA-57

『UNITED TOUR』


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曲名使用ギター
少年時代 J-160E
娘がねじれる時 J-160E
Make-up Shadow J-160E
コーヒー・ルンバ ストラトキャスター(2nd)
帰れない二人 J-160E
リバーサイドホテル J-160E
いっそセレナーデ J-160E
バレリーナ なし(マイク・スタンド)
My House ストラトキャスター(2nd)
あどけない君のしぐさ XX-MC
カナリア XX-MC
とまどうペリカン J-160E
ミスキャスト ストラトキャスター(2nd)
タイランド ファンタジア なし(マイク・スタンド)
花の首飾り XX-MC
傘がない XX-MC
氷の世界 J-160E
最後のニュース J-160E
海へ来なさい ストラトキャスター(2nd)
クレイジーラブ ストラトキャスター(2nd)
招待状のないショー ストラトキャスター(2nd)
心もよう J-45(1st)
長い坂の絵のフレーム ストラトキャスター(2nd)

『The Premium Night』

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曲名使用ギター
招待状のないショー J-45(1st)
青空、ひとりきり D-55
闇夜の国から J-45(1st)
なぜか上海 J-45(1st)
白いカーネーション D-55
カナリア D-55
夏まつり J-45(1st)
心もよう J-45(1st)
いつのまにか少女は D-55
海へ来なさい J-45(1st)
11;36 LOVE TRAIN D-55
とまどうペリカン D-55
リバーサイド ホテル D-55
新しいラプソディー LKSM
新しい恋 D-55
感謝知らずの女 D-55
長い猫 ストラトキャスター(2nd)
氷の世界 ストラトキャスター(2nd)
アジアの純真 ストラトキャスター(2nd)
渚にまつわるエトセトラ ストラトキャスター(2nd)
夢の中へ ストラトキャスター(2nd)
少年時代 D-55
おやすみ D-55
傘がない D-55

『Double Shopping Drive』


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曲名使用ギター
アウトバーンの狼 D-55
パラレルラブ D-55
月ひとしずく D-55
相当な決意 D-55
HIROSHIMA D-55
手引きのようなもの D-55
I'll Be Back D-55
You Really Got a Hold on Me D-55
カラフル D-55
パスタ・セレナーデ D-55
リバーサイド ホテル D-55
The STANDARD J-45(1st)
恋はハーモニー D-55
海の中道 D-55
にじむ虹 D-55
京都に電話して D-55
侘び助 D-55
ありがとう D-55
アジアの純真 D-55
帰れない二人 D-55
曲名使用ギター
(結詞) D-55
海へ来なさい D-55
雪が降る町 J-45(1st)
The STANDARD D-55
夢の中へ D-55
曲名使用ギター
最後のニュース D-55

『40th Special Thanks Live in 武道館』


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曲名使用ギター
新しいラプソディー LKSM
嘘つきダイヤモンド D-55
闇夜の国から J-45(1st)
Make-up Shadow J-45(1st)
とまどうペリカン D-55
帰れない二人 D-55
心もよう D-55
カナリア D-55
飾りじゃないのよ 涙は J-45(1st)
リバーサイド ホテル D-55
ワインレッドの心 D-55
自然に飾られて D-55
招待状のないショー なし(マイク・スタンド)
クレイジーラブ D-55
限りない欲望 J-45(1st)
氷の世界 なし(マイク・スタンド)
最後のニュース LKSM
少年時代 D-55
Happy Birthday D-55
夢の中へ D-55
傘がない D-55
いっそ セレナーデ なし(マイク・スタンド)

用語集

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ギターにまつわるエトセトラ

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備考

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